人工透析
掲載日:2013.11.15
埼玉県
慢性糸球体腎炎(慢性腎不全)
50代男性 社会的治癒
障害種別 | 腎疾患の障害 |
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病名 | 慢性糸球体腎炎(慢性腎不全) |
認定結果 | 障害厚生年金2級 |
都道府県 | 埼玉県 |
その他 | 人工透析,幼少期の初診,社会的治癒 |
A大学病院にて受診状況等証明書を取得したところ、
初診日は昭和56年5月(当時16歳)と記載、
「治療離脱」「腎生検を拒否」(実際は拒否したわけでない)などとされ、
それを見た年金事務所では、厚生年金の請求は不可と言われてしまった、とのこと。
その時点でご相談いただきました。
診療歴は、蛋白尿が出て昭和56年にA大学病院を受診。
糸球体性腎炎と診断されるが、
昭和57年からは蛋白が検出されなくなったため通院を終了。
その後就職し、平成7年に会社の健康診断で蛋白尿を指摘されるが、
B院医師は「異常なし」と健診結果票に記載。(ただし15歳時に腎炎の記載もあり)
その後は蛋白尿が継続して検出され、平成9年にIgA腎症と診断、経過観察とされる。
健康診断結果票は平成7年から9年のみ手元にあり、
B院ではカルテが廃棄され、受診状況等証明書が入手できない状況。
平成16年ごろから口渇、浮腫みを自覚しA大学病院を再診、治療開始。
平成22年に現在のC腎クリニックへ転院。
腎機能が徐々に低下し、平成25年になり人工透析導入。
この段階で受診状況等証明書を取得したところ、冒頭の記載となる。
ご相談の結果、厚生年金受給の可能性は充分あると判断。
資料を集めて障害厚生年金を請求。
無事に障害厚生年金2級に認定されました。
坂田の意見・感想
腎疾患は療養が長期に渡るため難しく、記録を追う中で
こうした二十歳前の受診記録が出てきてしまうことがあります。
その際にどこを初診とするかは一概には言えません。
それぞれ治療の経過を含めて、個別に考える必要があります。
今回は受診再開が同じA大学病院であったため、
こうした経緯が受診状況等証明書に載ってくることとなりました。
年金事務所としては二十歳前傷病と判断したと思われますが、
その後の経過と年金被保険者記録からして厚生年金の請求が可能と判断しました。
ちなみに受診状況等証明書の日付は昭和56年のまま提出しています。
確かに障害認定基準では、糸球体性腎炎は長期間の経過後であっても、
その後の慢性腎不全と因果関係ありとされています。
しかし、だからと言って常に二十歳前傷病と
なるわけではないことが証明されたケースです。
二十歳前傷病を使うとなると国民年金(障害基礎年金)が確定なので、
同じ人工透析という障害状態でも受給額に大きな差が出てしまいます。
しかし、仮にこれを許してしまえば、幼少期に尿蛋白などで
二次検査を受けた方は、全て障害基礎年金になってしまうことになり、
それはやはり制度上失当なものでしょう。
ただ、今回のようなケースは実は多くあって、
資料不足で障害厚生年金の請求を却下されて
審査請求、再審査請求に進まざるを得ない事例もあります。
これを回避するには、最初に全ての資料をできる限り集めて、
その中で「過不足なく」請求を行うことです。
それができれば、本件のように厚生年金として認定の可能性があります。
障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金では
金額がまるで違いますので、慎重に行うべきです。
そして一度否定されてしまうと、状況によっては
再審査請求まで覚悟しなければなりません。
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