障害年金の初診日についてもっと深く理解する。
掲載日:2018.10.05
もう少し簡単に解説した「初診日」とはなんでしょうか。もご用意しています。
障害年金を請求するのに「初診日」を避けて通ることはできません。障害年金における初診日とは、基本的にはその症状で初めて医師の診察を受けた日です。こう書くとシンプルで簡単なのですが、障害年金請求で一番大切になる日で、私たちのような社会保険労務士から見ても、大変奥が深い日になります。
そのため、初診日を特定するのに必要な証拠が足りていない、と認定されてしまうと、追加資料を求められたり、却下処分を受けることになってしまったりします。ご自身で何気なく障害年金請求をし、こうした処分を受けることも多くあります。
審査請求や再審査請求のご相談で非常に多いのが、この初診日特定の問題です。その後の資料収集で今までの申立てとは異なる内容の書類が見つかることも少なくありませんから、あとから処分を覆すというのは骨のある作業です。なかなか審査請求では認められないのも事実としてありますので、再審査請求までかかってしまうことも多く、そこで認定されれば上出来ということになります。(記事:初診日について争った事例1、2、3)
こうした際の判断のポイントが相当因果関係です。前の傷病がなかったら後の傷病もなかったという関係に立つ場合などは、前の傷病と後の傷病の間に相当因果関係があるとされ、後発傷病の初診日は前発傷病の初診日ということになります。
これは病歴にもよってきますので、はっきり言うと、どこを初診日として認定されるか、出してみなければわかりません。旧来の初診日で認定されているものと、確定診断時を初診日として認定している両方が混在しています。これによって保険料納付要件や制度が変わってしまう場合は大問題に発展する可能性がありますので、最初から障害年金に明るい社労士に依頼して請求することをお勧めします。
平成27年10月1日に初診日の取扱いが変更され、それまで健康診断受診日とされていた初診日は、その後治療目的で受診した日に変更になりました。
平成27年9月末までは、受診状況等証明書を取得した際に「健診で指摘」など記載された場合、健康診断結果を提出するなどして健診日を証明できないと却下になってしまう処分が頻発しており、問題となっていました。何十年も後になり、健診結果が提出されないので却下、というのはあまりに酷な処分です。
平成27年10月1日以降、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされ、年金機構の内部資料においても「受診状況等証明書に健康診断で指摘の記載があっても、健康診断結果の提出を求めない」としています。これは非常に大きな変更で、これによって救済される人が多く出た一方、これにより不利益を受ける人もいると思われます。
また以下のような付記があります。
この記載により健診日を初診日とする余地を残したわけですが、あくまで「本人の申し立てがあれば」というのがポイントです。通常、障害年金を請求しようとしている人がここまで精通しているはずがないので、どのくらい有効性があるかは不透明です。
社会的治癒は適用の明確な基準が定められていません。社会保険の適用上、救済的に認められている法理です。したがって、こちらも説得力ある資料をできる限り収集し、提出してみて判断を仰ぐ、それでだめなら審査請求する、ということが必要になってきます。
また、社会的治癒は医学的な治癒とは異なりますので、医師に社会的治癒があるかの意見を求めてもあまり意味がないと思います。医師は医学の専門家であるからです。ですから医師からは事実の収集にとどめて、その他の客観的資料を固めて主張していくことになると思います。
何よりも怖いのは、決めつけや思い込み、誤った教示によって不利益を受ける可能性があるという不安定さであると思います。
障害年金を請求するのに「初診日」を避けて通ることはできません。障害年金における初診日とは、基本的にはその症状で初めて医師の診察を受けた日です。こう書くとシンプルで簡単なのですが、障害年金請求で一番大切になる日で、私たちのような社会保険労務士から見ても、大変奥が深い日になります。
初診日は原則特定しなければならない
障害年金請求では、初診日は原則として日付まで特定して請求を行うことになります。この日付を使用して、どの制度に加入していたか、保険料を支払っていたかを確認しますので、初診日という日付は、受給権の有無や制度を左右する大変重要な日付ということになります。そのため、初診日を特定するのに必要な証拠が足りていない、と認定されてしまうと、追加資料を求められたり、却下処分を受けることになってしまったりします。ご自身で何気なく障害年金請求をし、こうした処分を受けることも多くあります。
審査請求や再審査請求のご相談で非常に多いのが、この初診日特定の問題です。その後の資料収集で今までの申立てとは異なる内容の書類が見つかることも少なくありませんから、あとから処分を覆すというのは骨のある作業です。なかなか審査請求では認められないのも事実としてありますので、再審査請求までかかってしまうことも多く、そこで認定されれば上出来ということになります。(記事:初診日について争った事例1、2、3)
相当因果関係とは
この初診日をどこで主張するか、というのは、特に私たちのような専門家とご自身で請求する際の考え方の違いが大きく現れやすいと思います。たとえば事故に遭って病院に行き、そのまま障害状態になった、という場合は初診日の判断は非常に簡単です。ただ、たとえば糖尿病が進行して慢性腎不全に至った場合、初診日はどのように判断すれば良いでしょうか。こうした際の判断のポイントが相当因果関係です。前の傷病がなかったら後の傷病もなかったという関係に立つ場合などは、前の傷病と後の傷病の間に相当因果関係があるとされ、後発傷病の初診日は前発傷病の初診日ということになります。
難病など医療機関を転々とした場合
難病の場合、特に初期においては診断が付かず、医療機関を転々とすることも多くあります。基本的な考え方としては、症状が出て初めて医療機関を受診した日が初診日になりますから、確定診断前の受診も初診日になりえます。ただ最近では、慢性疲労症候群や線維筋痛症などについては確定診断時を初診日として認定することも増えています。これは病歴にもよってきますので、はっきり言うと、どこを初診日として認定されるか、出してみなければわかりません。旧来の初診日で認定されているものと、確定診断時を初診日として認定している両方が混在しています。これによって保険料納付要件や制度が変わってしまう場合は大問題に発展する可能性がありますので、最初から障害年金に明るい社労士に依頼して請求することをお勧めします。
健康診断日の取扱い
最初は軽かった症状が、ずっと後になって重くなり障害状態に至る場合があります。こうしたときに起こるのが、初診医療機関において診療録が廃棄されてしまった場合です。これも大問題に発展する可能性のあるケースです。平成27年10月1日に初診日の取扱いが変更され、それまで健康診断受診日とされていた初診日は、その後治療目的で受診した日に変更になりました。
平成27年9月末までは、受診状況等証明書を取得した際に「健診で指摘」など記載された場合、健康診断結果を提出するなどして健診日を証明できないと却下になってしまう処分が頻発しており、問題となっていました。何十年も後になり、健診結果が提出されないので却下、というのはあまりに酷な処分です。
平成27年10月1日以降、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされ、年金機構の内部資料においても「受診状況等証明書に健康診断で指摘の記載があっても、健康診断結果の提出を求めない」としています。これは非常に大きな変更で、これによって救済される人が多く出た一方、これにより不利益を受ける人もいると思われます。
また以下のような付記があります。
「初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証(受診状況等証明書)が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。
この記載により健診日を初診日とする余地を残したわけですが、あくまで「本人の申し立てがあれば」というのがポイントです。通常、障害年金を請求しようとしている人がここまで精通しているはずがないので、どのくらい有効性があるかは不透明です。
社会的治癒について
初診日の認定には、社会的治癒について検討しなければならないこともあります。詳しくは社会的治癒のページをご覧頂きたいと思いますが、後発傷病の初診日を取ると不利益が生じる場合、社会的治癒を求めて主張することがあります。社会的治癒は適用の明確な基準が定められていません。社会保険の適用上、救済的に認められている法理です。したがって、こちらも説得力ある資料をできる限り収集し、提出してみて判断を仰ぐ、それでだめなら審査請求する、ということが必要になってきます。
また、社会的治癒は医学的な治癒とは異なりますので、医師に社会的治癒があるかの意見を求めてもあまり意味がないと思います。医師は医学の専門家であるからです。ですから医師からは事実の収集にとどめて、その他の客観的資料を固めて主張していくことになると思います。
障害年金における「初診日」についてのまとめ
初診日というのは1つしかないかというと必ずしもそうとは言えません。最終的に認定される初診日は1つということになりますが、主張するポイントがいくつもある場合というのは実際にあります。こう言うと不正請求と捉える方がおられますが、請求する側が法的に許される範囲で、自身に有利な主張をするということは当然のことです。それを認めるかどうかは保険者が判断し、不服があれば審査請求、再審査請求をしていくことになります。何よりも怖いのは、決めつけや思い込み、誤った教示によって不利益を受ける可能性があるという不安定さであると思います。
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