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年金保険料を「滞納」すると障害年金はどうなる?

年金制度に加入すると、基本的に保険料を負担する必要があります。たとえば、国民年金に加入すると国民年金保険料の納付書が送られてきます。会社に就職して厚生年金に加入すると給与天引きで保険料を納付することになります。

特に、厚生年金保険料は給与から有無を言わさず天引きされてしまうので「未納」ということがありません(マニアックですが「厚年未納」という状態は生じえます。ただし普通はありません)。一方で、国民年金第3号被保険者(会社員の被扶養配偶者)は納付の義務自体がないので、やはり同じく「未納」という概念は生じないことになります。

なお、たまにある勘違いですが、2号の方のいわゆる「扶養」の方は、厚生年金ではなく国民年金加入者ですから、請求するのは障害基礎年金です。

国民年金保険料納付率は66.3%(平成29年現年度納付率)とされていますが、国民年金第1号被保険者のうち、免除・猶予者を除いた保険料を支払うべき人で未納にしている人は、実際は10.4%しかいません。国年未加入者を入れても10.9%、厚生年金を含めた公的年金加入対象者からすると約2%です。(出典:公的年金制度全体の状況・国民年金保険料収納対策について(概要)厚生労働省)

では、国民年金で年金保険料を負担するべき人が「未納」のままにすると、どうなってしまうのでしょうか。

未納が多いようだと障害年金を受給できません

結論から言ってしまうと、年金保険料を支払っていない状態、つまり「未納」期間が初診日時点で一定以上あると、障害年金を受給することはできません。(*)
*詳細については保険料納付要件のページをご覧下さい。

「全額免除」については保険料納付と同じように扱われますが、「一部免除」の場合、残った保険料を納付していない場合は「未納」扱いです。「一部免除」とは文字通り、一部のみ免除されているわけですから、残った保険料については納付義務があり、それを納付していないということになってしまいます。

初診日よりあとに納めても良いの?

時々頂くご相談、質問として「初診日時点は未納にしているので、これから支払おうと思う」というものがあります。

これがまかり通るとなると、保険料納付要件を満たさない人は事実上いないことになりますので、そんなはずはありません。この方法では、その傷病における障害年金の納付要件を満たすことはできません。保険料の納付状況は「初診日前日」で見られるためです。

そうでないと、たとえば事故に遭った当日に、銀行で未納分をすべて払ってくる、という方法でも保険料納付要件をクリアできることになってしまいますので、これでは「保険」が成り立ちません。年金制度は基本的には保険なのです。年金側では納付した日付をちゃんと管理・記録していて、後から納めた分はちゃんと見分けがつくようになっています。

では初診日以降に納めた保険料はどうなるの?

このお話をすると「じゃあもう年金は支払わなくていいですね」という人がいます。そうではないんです。

たしかに、今請求を考えていた傷病による障害年金の保険料納付要件を満たすことはできません。しかし、今後生じる傷病の保険料納付要件には当然加味することができますし、新たな傷病が生じなくても老齢基礎年金の計算に含まれます。未納にしておくことで、新たに傷病が生じて請求しようと思ったのに、また請求できないとか、老齢年金も受給できない、ということになります。

「納付済」の盲点

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」では、国民年金保険料を納めている期間については「納付済」と記載されます。過去に未納期間があった場合、この表記には注意が必要です。この表記はあくまで発行時(画面表示時)に保険料が納付されているか、という意味に過ぎないので、その保険料がいつ納付されたかまでを確認することはできません。

保険料納付要件は「初診日前日」でみますので、初診日より後に支払っている場合は「納付済」と記載されていても計算に含めることができない、ということがありえます。たとえば、過去10年分をいっぺんに支払えば、これらは全て「納付済」と記載されることになりますが、初診日が去年であれば保険料納付要件を満たさないのです。

「免除」についても同様で、免除手続きを行った日が初診日よりも前にある必要があります。

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