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大切な人ががんになったときに、きっと思い出してください。

病気で人が亡くなる場合、直前にはほとんどの方が障害状態になると言えます。

ここで言う「障害状態」とは、障害年金でいう障害状態です。実際に給付を受けているかは別にして、障害の程度(重さ)という意味で、突然死や事故などの場合を除いて障害状態になると考えられます。

これはがんについても同様にいうことができます。

厚生労働省によるがんの統計

平成23年の統計によると、がん患者は全国におよそ860万人いるとされます。(厚生労働省・平成23年(2011)患者調査の概況

そのうちおよそ424万8千人が65歳以上で、半数以上は65歳未満ということになります。65歳未満には小児がんも含まれますが、少なくとも20代以降についてはいわゆる「現役世代」と言ってよい年代だと思います。

国民の15人に1人以上ががん患者という割合になりますから、がんは身近な疾患です。誰もががんになる可能性があり、自分のパートナーががんになることも充分ありえます。

あまり知られていませんが、障害年金はがんで受給することもできます。

がんによる障害年金請求を知らない

私たちは、実際にがん(悪性腫瘍全般)の障害年金請求を行っていますが、ほとんどの方は障害年金を請求しないままになっているのが実情であると思います。障害年金のうち、がん(悪性新生物)で障害年金を受給しているのは全体の1.1%しかいません。(平成26年度障害年金受給者実態調査)

一番大きな要因は「がん」が障害年金の対象になることを知らないからです。

本来、障害年金は受給要件を満たすことができれば支給され、そのうちの一つが障害状態であることです。これは他の傷病と全く変わりがありません。

しかし普通はがんで障害年金を受給するということは思い浮かびませんから、受給しないまま過ぎていってしまいます。これが一番大きな要因であると考えられます。これだけがん患者、がんで亡くなる方が多いわけですから、もっと広報をしても良いように思います。傷病を特定して注意喚起するだけで認知度は飛躍的に高まるはずです。

しかし自治体や年金機構の官公庁、医療機関などの情報から障害年金請求まで辿り着く人というのは、まだまだ少ないのではないでしょうか。

内部疾患での障害認定はハードルが高い

内部疾患による障害認定は確かに難しいという実情もあります。検査数値で障害認定基準が設定されておらず、日常生活能力で測るしかないケースです。

この場合、「一般状態区分表」でいう「イ(軽労働は可能)」という状態では3級にも該当しづらく、「ウ(軽労働不可)」になってようやく3級認定されるのが実態です。(がんによる認定事例

一方で同じがんであっても「大腸がんで手術をして人工肛門造設。その後復職した。」という方がいたとします。この場合は一般状態区分で言えば「イ」かもしれませんが、人工肛門自体が障害状態とされているので3級に認定されます。

つまり、亡くなる直前で余命数ヶ月という方が3級、寛解して就労している人工肛門の方も3級、ということが往々にしてあります。がんの障害年金請求の難しいところです。

しかしもし予後が厳しい状況とされて、歩行すら簡単ではない、ほぼ自宅屋内で過ごされている、という状態ならば、それは日常生活能力としても該当する可能性が高い状態です。障害年金請求の検討をお勧めします。

障害年金請求をして不支給となった場合

障害年金を請求したとしても、不支給となる可能性はあります。がんに限らずどんな病気であっても同じです。

しかし一度不支給となった場合でも、障害年金はいつでも再請求することができます。障害状態というのは時間の経過によって変動する、と保険者は考えています。よって、再請求は何の問題もありません。

ご体調が深刻な時期に、患者さんご本人、またのご家族にこうした経済的な話をするのは難しいかもしれません。ですが、障害年金を知るということは希望にもなり得ます。治療に費用がかかるなかで「障害年金を受けることで気が楽になった」「安心した」とおっしゃる方が多いのも事実です。

もしお近くにがん患者の方がおられたら、ぜひ障害年金のお話をしてみてください。

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