精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会について
掲載日:2015.06.30
平成27年初頭にあった障害基礎年金の決定に地域差があることを受け、平成27年2月より厚生労働省にて「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」が開かれています。
当社でも傍聴に行っていますが、第3回の議事録が公開されました。
その中でいくつか触れたい部分がありましたのでご紹介したいと思います。
検討会での発言内容について
日本発達障害ネットワーク市川参考人(抜粋)
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市川委員は平成23年1月から3月に開かれた障害年金の認定(知的障害等)
に関する専門家会合の座長を務めていた医師です。
その専門家会合を受けて平成23年9月に障害認定基準が改訂されました。
障害認定基準を作った市川参考人が言っているわけですから、
当時の厚生労働省の発言通りの運用、当時の専門家会合委員の
考えたような認定がされていないと考えていいでしょう。
また市川参考人は、下記のようにも述べています。
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一方で、後藤構成員、市川構成員は下記のようにも述べています。
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障害ねんきんナビは以下のように考えます
そもそも「人格障害」(パーソナリティ障害)が障害認定基準に入っていないのが、
一つ問題としてあると思います。
障害年金は障害の状態に着目して認定を行うのであって、
人格障害や神経症など傷病名で年金上区別することに意味があるのでしょうか。
また、社会保険労務士の活動に関する指摘がいくつかありました。
前向きなものもあれば後ろ向きなものもあります。
まず第一に障害年金の業務を行う社会保険労務士が増えてきた、
ということが客観的に言えると思います。
受給困難者にとって社会保険労務士を活用することは
有効性のある問題解決の手段であると思います。
しかし受任には確かな知識を持って応えなければなりませんし、
特に不正請求に加担するようなことはあってはならないことです。
批判について私たち社会保険労務士は謙虚に受け止めなければなりません。
ただ「こういうふうに書いてもらえば通る」というのは、
事実としてご依頼者の方に話すことはあります。
なぜなら、たとえば「この診断書ではなぜ通らないか」について
話す必要性があるからです。それは年金機構も同じです。
ですから「この傷病名では通らない」という話は
今後ガイドラインが作られても当然にあるでしょうし、
それ自体は障害認定基準に明記されているので、
それを読めば誰にでもわかる当然の話です。
岩坂構成員の話も同じです。
社会保険労務士に限らず、評価を得点化しボーダーラインとするのであれば、
請求される方は皆、それを超えて書いてもらわなければ、と思うのが自然です。
またそんなものをガイドラインで出し、全国統一化して問題が解決できるならば、
逆に社会保険労務士に20万払う必要性はありません。
しかしそれで問題が解決できないことは明白です。
そもそも認定基準があるのに、逸脱する決定を全国で繰り返し、
挙句の果てに認定基準を守るための基準(ガイドライン)を作る、とは、
それでは認定基準を作った医師も怒るはずです。
そのような認定が多々あるため審査請求に進まねばならない方が多いのに、
「社労士がうんぬん」というのはいかにも的外れです。
まず地域差というのは認定基準によって生まれているのではなく、
年金機構、認定医で生まれていることに認定医自身が気付く必要があります。
呼ばれている認定医は「自分の県はこうだ」というだけで、
認定がバラバラであることについて問題意識や
申し訳ないという気持ちを誰一人として感じません。
そうなると厚生労労働省が作るべきなのはガイドラインではなく、
認定医の効率よい教育方法であると考えます。